コラーゲンとは?
コラーゲンはタンパク質の1種で、グリシン、アラニン、リジン、プロリンなどのアミノ酸が繋がってできています。
ヒトのタンパク質の約30%を占め、骨、腱、皮膚に多いⅠ型コラーゲン 軟骨、眼球の硝子体に使われるⅡ型コラーゲン、真皮や脈管に使われるⅢ型コラーゲンなどがあります。
ちなみにコラーゲンを加工することでゼラチンができます。
摂取することで
- 肌にいい
- 髪にいい
- 骨を丈夫にする
- 関節痛にいい
- 筋肉にいい
などといわれることがありますが、これは本当なのでしょうか?少し調べてみました。
コラーゲンが消化、吸収されると…
コラーゲンは牛肉、豚肉、鶏肉、魚介類などに含まれているので、その手のものを食べれば摂取できるわけですが、体内に取り込まれたコラーゲンはアミノ酸やペプチド(アミノ酸がいくつか繋がったもの)に分解されてから吸収されます。
吸収されたアミノ酸は酵素やホルモンの材料となったり、再合成されて皮膚や骨のコラーゲンとなったりしますが、コラーゲンから取り入れられたアミノ酸がコラーゲンのために使われるとは限りません。
つまりコラーゲンを摂取したからといって自分の体内のコラーゲン量が増えるとは限りません。
コラーゲンを飲むことで(体内の)コラーゲンが増えるというのはプロテインを飲めば筋肉がつくといっているのと同じではないでしょうか。
プロテインが必要とされるのは筋トレで筋肉が刺激されたことによりタンパク質への需要が高まるからであって、何もしてないのにプロテインを飲めばただ太るだけです。
同様にコラーゲンを増やしたいと体が思っていないところにアミノ酸を供給してもあまり意味がないように思えます。
ちなみに体内でコラーゲンが合成されるためにはビタミンCや鉄が必要なそうです。
一般的に認められているわけではないようですが、コラーゲンを経口で摂取することで皮膚に何らかのよい効果をもたらしたとする実験結果もあります注1。
ただ普通にタンパク質を摂ることと比べてコラーゲンが優位なのかは不明です。
アミノ酸源としては良質じゃない
コラーゲンを含めてタンパク質はアミノ酸が繋がってできていますが、アミノ酸には体内で作り出せるものと体内では作れず食品から摂取するしかない必須アミノ酸があります。
コラーゲンに含まれるアミノ酸はグリシン、プロリン、ヒドロキシプロリンが多く、含硫アミノ酸(シスチン、メチオニン)が非常に少なく、トリプトファンは含まれていません。
そのためコラーゲンばかりからアミノ酸を摂取していると、一部のアミノ酸が必要量に達しなくなり、かえって体に悪くなっていまします。
ちなみにタンパク質の必要摂取量はこんな感じになっています。
年齢 | 男性 必要量/推奨量 | 女性 必要量/推奨量 |
---|---|---|
10-11歳 | 40g/50g | 40g/50g |
12-14歳 | 50g/60g | 45g/55g |
15-17歳 | 50g/65g | 45g/55g |
18歳~ | 50g/60g | 40g/50g |
(日本人の食事摂取基準2015年版より)
塗るのは意味がある?
経口摂取ではなく肌に塗布した場合はどうでしょうか?
コラーゲンは食品やサプリメントだけでなく、クリームでも入っていることがよくアピールされてますよね。
コラーゲンを塗ることその下の皮膚のコラーゲン量が増えるとは考え難いですが、保湿性は高いようなので乾燥を防ぎ潤いを保つためにはよいと思われます注2。
なお、抗原性のあるテロペプチドを除いたアテロコラーゲンを直接皮膚に注入するコラーゲン注射は傷跡、ニキビ跡など治療に使用されているそうです注3。
注1コラーゲン経口摂取が結合組織(骨、皮膚)におよぼす作用、コラーゲンペプチド経口摂取による皮膚角層水分量の改善効果
注2コラーゲン配合クリームのエモリエント性
注3注射用牛真皮コラーゲンの使用経験