摂取エネルギーと消費エネルギーが釣り合っていれば体重は変わらず、消費>摂取になれば体重は減り、摂取>消費になれば体重は増えるはずです。
摂取エネルギー、消費エネルギーと体重の関係
つまり一日に自分が消費するエネルギー量を知ることができれば何カロリーまで食べても太らないのか、何カロリー以上食べれば太るのか、何カロリー以下にすれば痩せるのかを知ることができます。

ヒトのエネルギーの使われ方は、

  1. 基礎代謝(なにもしないでも生命の維持に使われる分)
  2. 身体活動(スポーツ、筋トレ、通勤、散歩などの活動)
  3. 食事誘発性熱産生(食べ物を摂取することで発生するエネルギー消費)

の3つにわけけられます。割合としては普通の人では60%、30%、10%ぐらいになります。
1日の消費エネルギーの割合(安静時代謝60%、食事誘発性熱産生10%、身体活動30%)
消費エネルギーを知るためにはそれぞれを計測すればいいのですが、それは非常に困難なことらしく自分で直後に測定することは不可能となっています。

だいたいの目安

厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準」という資料に推定エネルギー必要量が掲載されていますが、それによると1日に必要なエネルギー量は以下のようになります。

男性の場合

年齢 活動レベルⅠ 活動レベルⅡ 活動レベルⅢ
6-7歳 1350kcal 1550kcal 1750kcal
8-9歳 1600kcal 1850kcal 2100kcal
10-11歳 1950kcal 2250kcal 2500kcal
12-14歳 2300kcal 2600kcal 2900kcal
15-17歳 2500kcal 2850kcal 3150kcal
18-29歳 2300kcal 2650kcal 3050kcal
30-49歳 2300kcal 2650kcal 3050kcal
50-69歳 2100kcal 2450kcal 2800kcal
70歳~ 1850kcal 2200kcal 2500kcal

18歳活動レベルⅡの人がダイエットしようと思えば少なくとも2650kcal以下に抑える必要があるということになります。

女性の場合

年齢 活動レベルⅠ 活動レベルⅡ 活動レベルⅢ
6-7歳 1250kcal 1450kcal 1650kcal
8-9歳 1500kcal 1700kcal 1900kcal
10-11歳 1850kcal 2100kcal 2350kcal
12-14歳 2150kcal 2400kcal 2700kcal
15-17歳 2050kcal 2300kcal 2550kcal
18-29歳 1650kcal 1950kcal 2200kcal
30-49歳 1750kcal 2000kcal 2300kcal
50-69歳 1650kcal 1900kcal 2200kcal
70歳~ 1500kcal 1750kcal 2000kcal

 

活動レベルⅠは生活の大部分が座位で静的な活動が中心の場合、活動レベルⅡは座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買い物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む場合、活動レベルⅢは移動や立位の多い仕事への従事者、あるいはスポーツ等余暇における活発な運動習慣を持っている場合と定義されています。
 
ただこれは標準的な体型を参照して計算されたものなので、平均から大きく離れた体型をしている場合はかなりのズレが発生する可能性があります。

自力で計算する

非常に面倒くさいですが自力で自分の消費エネルギーを計算するこもできます。
計算方法は色々あるようです。「日本人の食事摂取基準」(2010年版)ブロック別講習会資料で紹介されていた式のひとつでは、

一日当たりのエネルギー消費量 =(基礎代謝量×1.1) × メッツの平均値 ÷0.9

となっていました。
ただ上記の「日本人の食事摂取基準」では基本的に、

推定エネルギー必要量(kcal/日)=基礎代謝量(kcal/日)× 身体活動レベル

となっています(子供は成長、妊婦はお腹の赤ちゃんに使われる分を考慮)。
この式の身体活動レベルは上の式の「メッツの平均値」と同じ意味と考えていいはずです。

基礎代謝量

基礎代謝量は通常の生命活動で消費されるエネルギーです。基礎代謝量は計測データを元につくられた以下の表から知ることができます。
基礎代謝予表
基本的には基礎代謝量=基礎代謝基準値×体重なので、例えば18歳で体重が65kgの男子ならば、基礎代謝基準値の24と体重の65をかけて1560kcalとなります。

ただこれは参照体重について推定値と実測値が一致するようにしたものであり、参照体重から離れれば離れるほど誤差が大きくなります。
なので太っている人が、基礎代謝基準値を用いると基礎代謝量を過大評価し、痩せている人が基礎代謝基準値を用いると基礎代謝量を過小評価する危険性があります。
体脂肪率が極端に低い人や筋トレによって筋肉量の相当に増えている人もこれでは正確な値が分からない可能性があります。

身長や体重から基礎代謝量を推定する式も多数存在しているので、平均とかけ離れた人はそちらを用いた方がよいかもしれません。
基礎代謝量の推定式
日本人の食事摂取基準(2015年)各論 より)
 

ブロック別講習会資料の式で基礎代謝に1.1をかけているのは基礎代謝を座位安静時代謝に変換するためです。

基礎代謝量×1.1=座位安静時代謝量

安静時代謝とは

基礎代謝量に特異動的作用によるエネルギー消費量,体温維持のための加算量を加えたエネルギー代謝量に相当する.温度によって影響を受けるが,通常は環境温度によって特別の発熱量のない熱的中性領域での量.基礎代謝量に代わる基礎的なエネルギー消費量の指標として近年採用されることが多くなっている安静時のエネルギー消費量で,従来の基礎代謝量より20%程度多い量とされている。(コトバンク>栄養・生化学辞典

です。

メッツの平均値

メッツ値というのは各運動の強度を表すために考えられた値で、メッツ値が大きい程同時間での運動の消費エネルギーは増えます。
「身体活動のメッツ表」に様々なスポーツや活動のメッツ値が乗っているので見て頂きたいのですが、ここでいうメッツの平均値は以下のように計算します。

活動 メッツ 時間 時間×メッツ
横になってテレビをみる 1.0 0.5 0.5
駅まであるく 4.0 0.25 1
電車に乗る 1.3 1 1.3
デスクワーク 1.8 8 14.4
ジョギング(時速6.4km) 6.0 0.5 3
時間×メッツ合計

こうして延々と24時間分の活動を調べていき、最後に時間×メッツの合計値を24で割ります。これが「メッツの平均値」です。

「日本人の食事基準」の活動レベルⅠは1.50メッツ、レベルⅡは1.75メッツ、レベルⅢは2.0メッツとして計算されています。

食事誘発性熱産生

食事誘発性熱産生は実は栄養素毎に違っていて脂質では摂取カロリーの3~5%程度、炭水化物では5~10%程度、タンパク質では20%程度とされています。

ただ人は通常色々なものを食べますので平均すると10%ぐらいだろうと仮定されています。

ブロック別講習会資料の式の一番最後の ÷ 0.9 はこの食事誘発性熱産生10%を考慮したものです。

計算してみる

基礎代謝量が1500kcal、メッツの平均値2.0、としてみて計算すると最初の式では、

一日当たりのエネルギー消費量 =(1500×1.1) × 2.0 ÷0.9 =3667kcal

「日本人の食事摂取基準」の方では、

推定エネルギー必要量 = 1500 × 2 =3000kcal

となります。
基礎代謝が安静時代謝になっているのと食事誘発性熱産生が考慮されているためかなり違ってきますね。どっちにすればいいんでしょか…。

まあここまで計算してきてなんですが、自分の正確な消費カロリーを知るのはなかなか困難なようなので(例えば遺伝的に太りやすい体質だと代謝量が2、300kcal違ってくるという話もあります)、上記を目安にししつつ自分の体の変化を観察してどのぐらいまでなら太らないか、どこまで削れば痩せるかを見極めていけばよいのではないかと思います。