ダイエットが成功しないのは「太りやすい体質」のせい?最近は遺伝子検査で簡単に肥満体質かチェックできるらしい

DNAのイメージ
同じぐらい食べているはずなのにある人は痩せていてある人は太っているということもあります。
運動量も対して違わないとすればこのように差がつくのは体質の違いといってよいでしょう。
太りやすい人は代謝が悪く、痩せやすい人は代謝がいいと考えられますが、代謝が悪い体質とはエネルギーを節約できる体質ということです。
食糧事情が劣悪だった近代以前の世界の世界ではこのような特徴はむしろ利点でしたが、現代のような飽食の時代にあっては肥満の危険性を増大させる原因となっています。
例えばポリネシアンに肥満が多いのは元々の環境に適応して節約型の体質の人が多かったところに植民地化によって西洋風の食生活が持ち込まれたためと考えられています。

肥満体質の原因となる遺伝子

遺伝子は二重らせん構造をしたDNA(デオキシリボ核酸)からなり、その情報をもとにタンパク質が作られることで人の様々な特徴が決定されます。
1953年にワトソンとクリックがDNAの二重らせん構造を発見して以来急速に研究が進み、2003年にはヒトゲノム(人の全遺伝子情報)の解読が終了したそうです。
こうしたなかで太りやすさに関連すると考えられる遺伝子がいくつも発見されています注1

β3アドレナリン受容体

運動を行うとノルアドレナリン、アドレナリンなどが分泌され、アドレナリン受容体(アドレナリンレセプター)と結合することで体脂肪を分解する働きをします。つまり脂肪を燃焼するのにはアドレナリン受容体が必要なわけです。
しかし、基となる遺伝子に異変があるとβ3アドレナリン受容体を構成するアミノ酸の一部が正常とは違ったものになり、機能が低下してアドレナリンの作用を受けにくくなります。
一説には、日本人の34%にβ3-AR遺伝子多型(Trp64Arg)が存在し、そのことによって正常な人よりも安静時代謝量が200kcal少なくなるそうです注2

脂肪が分解される仕組み(イメージ)
運動によって脂肪が分解される仕組みイメージ

脱共役タンパク質(UCP1)

UCP1はノルアドレナリンが褐色脂肪細胞内のβ3受容体と結合することで生成されるタンパク質で、熱の生産に関わります。
褐色脂肪細胞は一般にイメージされる脂肪細胞(白色細胞)とは異なって体温の維持などに関わる特殊な脂肪細胞です。
UCP-1に異常があると熱の生産が低下することで代謝量が下がり結果として肥満が起きやすくなるとされます。
UCP1遺伝子多型(A-3826G)は日本人肥満女性の約24%に存在して、それゆえ全身代謝量が1日あたり100kcal低下しているとされます。注3

PPAR-γ

ペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体のことで、DNAの遺伝情報をコピーする転写因子として働き、脂肪細胞の分化に関わります。
12番目のアミノ酸がアラニン、プロリンかで活性が変わってくるのですが、日本人の96%が活性の高い(=脂肪をためめこみやすい)プロリン型といわれています。

遺伝的に痩せやすい体質もある
遺伝によって太りやすい性質(倹約遺伝子)を引き継ぐ可能性がある一方、逆に代謝を高め痩せやすくする性質(浪費遺伝子)がを受け継ぐ可能性もあります(例えばβ2アドレナリン受容体の多型を持っていると代謝が大きく増えるとされる)。
同じ人でもある太りやすい性質と痩せやすい性質の両方を受け継いでいることもあり、その場合ではトータルでみて痩せやすさ、太りやすさが決まることになります。

レプチン

レプチンは一種のホルモンで、「やせる」を意味するギリシャ語λεπτόςから命名されたというエピソードからもわかる通り、肥満の抑制にとても重要な働きをします。
レプチンは脂肪細胞から分泌され、血中濃度が高まると「脳にこれ以上食べるな」というシグナルを与えると共に交感神経活動亢進によってエネルギー消費増大をもたらします注4
元々突然変異でできた肥満マウスの研究の中で発見されたもので、これらのマウスではレプチン遺伝子の変異によりレプチンが正常に働かず、食欲が止まらないので食べ過ぎてしまい肥満になってしまうそうです。
当初ヒトではレプチン欠損による肥満はないと考えられていましたが、1997年に人間でも確認されており、ごく稀に存在するようです(多くは近親婚によるものと考えられています)。

レプチンの働き(イメージ)
レプチンの働きイメージ

驚くほど簡単な遺伝子検査の方法

父親、母親が太ってるからと言って必ずしも太りやすい体質とはいえません(その家の食生活の問題かもしれません)。
自分が遺伝的に肥満になりやすい体質なのかをチェックするには遺伝子検査が確実な方法ですが、現代では一般の人でも驚くほど簡単に遺伝子検査を実施できるようになっています。 
遺伝子検査サービスは多々ありますが、例えばディーエヌエー(DeNA)のやっているMYCODEというサービスではこんな感じの手順になっています。

  1. インターネットで検査キットを購入
  2. キットに入っている器具を使って唾液を採取
  3. 採取した唾液を指定先に郵送
  4. 検査が終わると検査結果がインターネットで見れる

これだけです。病院に行く必要も採血する必要もありません。
これで肥満の他、肌質やがん、心筋梗塞、脳卒中などに関する遺伝的傾向を知ることができます(→遺伝子検査MYCODE-マイコード-)。

太りやすい体質だからと言って痩せないわけではない

もし仮に自分が太りやすい体質だったとしても絶望する必要はありません。
太りやすい体質はやすいだけであって絶対に太る体質という意味ではありません。太りやすい性質を持っていながら痩せている人もたくさんいるはずです。

普通に消費カロリーが摂取カロリーを上回れば人は痩せていきます。

しかし、人間の1日の消費エネルギーで一番多いのは運動などの身体活動による消費ではなく代謝による消費です。肥満傾向の人はここが少ない可能性があります。
1日の消費エネルギーの割合(安静時代謝60%、食事誘発性熱産生10%、身体活動30%)

ですので肥満性向を持っていない人と比べると同じ食事、同じ運動をしても得られる成果が少なくなってきます。
というわけで肥満体質の人がダイエットをしようと思ったらより頑張らなければいけないということになります。例えば、

  • 普通の人が食事制限で400kcal分減らすところを600kcal分減らす
  • 普通の人が30分ジョギングするところを45分走る

などよりエネルギー摂取を減らすかよりエネルギー消費を増やす努力をしなくてはならないということになります。

これはかなりしんどいと思いますが、いまのところそういうものだと思って頑張るしか手立てがないがなさそうです。

まとめ

まとめるとこんな感じです。

  • 太りやすい体質の人がいる
  • 太りやすい体質かどうかは遺伝子検査である程度分かる
  • 太りやすい体質の場合はより一生懸命ダイエットしないと痩せない

以上。

太りやすい体質の人がいるってことは筋肉のつきやすい体質の人もいるはずですよね。同じような筋トレしててもがんがん成長していく人っていますもん。
筋トレに適した体質かを調べる遺伝子検査はないんでしょうかね。たぶん私はあまり向いてないと思います(笑)。

注12017年9月にも理化学研究所などでつくる研究グループが体重調節に関わるヒトゲノム上の193の遺伝的変異を同定したと発表しました。→肥満に影響する遺伝マーカーを解明-日本人17万人の解析により肥満に関わる病気や細胞を同定-
注2糖尿病学の進歩プログラム・講演要旨
注3インスリン抵抗性と糖代謝 福井智康 平野勉
注4レプチンによる脂肪代謝と脂肪蓄積の制御 加隈哲也 坂田利家

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