結論静的な筋トレは、一定レベルまでは筋肥大効果が見込まれます。ただし、ある程度筋肉が付いた体を手に入れた場合、「静的筋トレだけでレベルアップ・筋肥大していくのは難しい」というのが私の見解です。
静的筋力(アイソメトリック)トレーニングとは
筋肉収縮状態に応じて、トレーニングの呼び名が分かれています。
- 短くなりながら力を発揮 → コンセントリック収縮(短縮性収縮)
- 引き伸ばされるながら力が発揮 → エキセントリック収縮(伸張性収縮)
- 長さは変わっていない状態で力を発揮 → アイソメトリック収縮(等尺性収縮)=静的筋トレ
一般的な筋トレは、コンセントリックとエキセントリックの繰り返しです。
例えばダンベルカールであれば、
- 肘を曲げてダンベルを持ち上げていく:コンセントリック収縮
- 胸の前からダンベルを下ろしていく:エキセントリック収縮
これに対し、ある程度の負荷をかけたまま筋肉をいっさい動かさないようにするトレーニングをアイソメトリックトレーニングといいます。
西ドイツの生理学者T.Hetingerが1950年代に考案したもので、同氏によれば最大筋力の40%以上に負荷をかけて行うことで筋肥大、筋力向上にも効果があると主張されています。
静的筋トレのメリット・デメリット
静的筋トレのメリットとしては、
- 好きな角度で負荷をかけることができる
- 筋力、筋持久力の向上に(一定レベルまでなら)効果がある
- 怪我をしている場合でも行える種目がある
静的筋トレのデメリットとしては
- 筋肥大を得にくい(特にある程度発達している場合は)
- トレーニング中に血圧が上昇しやすい
- 地味だが見た目以上に辛い
どちらかというとリハビリ等に用いられることの多いトレーニングですが、普通の筋トレで重量が伸び悩んだときにやってみるのもよいと思います。
いくつか静的トレーニングのメニューを紹介してみたいと思います。
やり方のポイント
以下2つを押さえておきましょう。
- 筋持久力アップを狙う場合 → 自重で限界まで耐える
- 筋肥大は狙う場合 → 60~70%の負荷をかけて10秒程、姿勢を保つ
静的筋トレメニュー【7選】
伏せない腕立て伏せ
- 床にうつ伏せになり、腕を伸ばして体を浮かせる
- その状態をひたすらキープする
- 限界が来たら腕を曲げ床に胸をつける
胸筋や肩の筋肉である三角筋、二の腕外側の筋肉上腕三頭筋を鍛えることができます。
スクワットというか空気イス
- 肩幅程度に足を開いて直立
- ゆっくりと膝を曲げていく
- 膝と床が平行なあたりまできたらその状態をキープする
太ももやお尻の筋肉に効果があります。加重する場合は画像のようにバーベルを担ぐか手にダンベルを持っておこないましょう。
手を合わせる
- 肩幅程度に足を開いて直立
- 胸の前で掌を合わせ両側から思いっきり力をかける
- その状態を15秒間ほどキープする
同じように胸の前で手を組んで反対方向に力を掛ければ広背筋を鍛えることができます。
寸止めレッグレイズ
- 床に寝そべる
- 両脚を揃えて上げていく好みの角度で止める
- その状態を限界までキープする
腹筋を鍛えることができ、特に下腹によく効きます。テーブルなどの脚を手で掴んでやるとやりやすいかもしれません。左右に捻れば腹斜筋も鍛えられます。
懸垂持久
- 肩幅より広めの間隔をあけてバーを握りぶら下がる
- 腕を伸ばして肘を軽く曲げた状態で保持
- 背中を反って胸を張り肩甲骨を寄せながら体を引き上げていく
- 顎がバーの高さを越えたらその状態でキープ
スタンドや鉄棒が必要なので自宅では行いにくいですが順手で握れば広背筋、逆手で握れば上腕二頭筋に効果があります。また握力を鍛えるのにもいいかもしれません。
ヒップリフト
- 床に仰向けになり膝を曲げ片足をまっすぐ伸ばしたまま浮かせる
- そのまま尻を上方に浮かせていく
- 限界まできたらその状態を限界までキープする
- 後は決めた回数これを繰り返す
太もも裏側の筋肉ハムストリングスやお尻の筋肉大殿筋が鍛えられます。ヒップアップにもいいかもしれません。
フロントブリッジ
- 腕立て伏せをするような姿勢になり肘と前腕を床に着ける
- 左右どちらかに手を浮かせた真っ直ぐ前に伸ばす
- 伸ばした手と反対側の足を浮かせて伸ばす
- 限界までその状態をキープしたら反対側の手足で同じことをやる
腹筋やお腹のインナーマッスル腹横筋が鍛えられます。