持久力とは?
持久力とは一定の時間運動を持続させる能力のことです。
例えば一定速度で30分しか走り続けられない人よりも1時間走り続けることのできる人の方が持久力があるといわれます。
持久力は、
- 全身持久力
- 筋持久力
の2つに分類されて議論されることがあります。
全身持久力は比較的強度の低い運動を長い時間持続する能力をいい、筋持久力は一定の力を一定の期間連続して発揮し続けられる能力のことをいいます。
例えば、長時間走り続けられるかどうかというのは全身持久力的要素が大きく、腕立て伏せを何回までできるのかというは筋持久的です(もちろん両者は無関係ではありませんが)。
全身持久力をアップさせる方法
全身持久力は心肺機能、酸素供給能力に依存します。
なので心肺機能がフル活用さることのできるトレーニングが全身持久力アップには効果的となってきます。
一定強度で持続する有酸素運動
特に速度や負荷を変えずに一定時間運動を継続する方法です。
ジョギング、自転車を漕ぐ、縄跳び、エアロバイクを漕ぐ、水泳など普通に思い浮かぶ有酸素運動はだいたいこれに当たります。
インターバルトレーニング
インターバルトレーニングというのは高強度の運動と低強度の運動を交互に行うという鍛錬法で、心肺能力の強化に効果的とされています。
色々な種目で行うことができますが、例えば、高速で走った後、スローペースでジョギングし一定時間たったらまた高速で走るといった感じですね。かなりキツイのが難点です。
高所トレーニング
気圧の関係か高地にいくにしたがって酸素濃度が薄くなるので、標高の高い場所(1500m以上)に行くと体が順化して血流量、ヘモグロビン、赤血球など増え、心肺能力が向上します。
よくスポーツ選手が行っていますが、一般の人にはなかなか実施が難しいですね。
全身持久力を評価するための指標としてしばしば運動時の酸素消費量の最大値である最大酸素摂取量というのが使われます。
ただ測定には専用の装置が必要なので心拍数などから換算式を利用して求めることも多いそうです。
体力テストの項目のひとつとなっている20mシャトルランを行えば以下の推定表からだいたいの最大酸素摂取量を知ることも可能です。

出典:新体力テスト実施要項
全身持久力を評価するためのより簡易な方法としては、安静時の心拍数を計っておき、運動後心拍数がもとに戻るまでの時間を計るというやり方があります。
筋持久力をアップさせる方法
筋肉には遅筋繊維と速筋繊維があります。
タイプⅠ(遅筋) | タイプⅡa(速筋) | タイプⅡb(速筋) | |
---|---|---|---|
収縮速度 | 遅 | 速 | 速 |
持久力 | 高 | 中間 | 低 |
解糖系酵素活性 | 低 | 高 | 高 |
酸化系酵素活性 | 高 | 高 | 低 |
ミトコンドリア数 | 多 | 中間 | 少 |
ミオグロビン量 | 多 | 中間 | 少 |
グリコーゲン量 | 少 | 中間 | 多 |
速筋繊維は大きな力を発揮でもますが、長時間持続することはできず、遅筋繊維はあまり大きな力は出せませんが持久量があります。
筋肥大を目的とした筋トレつまり、
- その種目の動作を1回だけ行うことのできる負荷の80%程度の負荷をかける
- 短めのインターバルを挟んで最低3セット行う
といったルールのもとで行われる筋トレで鍛えることのできるのは速筋繊維です。
こうした筋トレは筋肉を大きくして最大筋力を上げるのには効率的ですが、筋持久力のアップにはそれ程効率的ではありません。
つまり筋肥大ばかりを追究していると力は強くなってもその力を出し続ける力はあまり身につかないので、実際のスポーツ等ではあまり役に立たないという事も起こりえます。
高回数筋トレ
という訳で筋持久力を上げるには高負荷トレーニングよりも高回数トレーニングの方が効果的と考えられています。
持久力があるのは遅筋繊維だから高回数トレーニングを行えば遅筋が増えるのかといえば、今のところ人間の努力によって筋線維のタイプを変えるということはできないされているので、そういうことではありません(動物では確認されており、人間でも上記の筋線維の中間的なタイプの筋線維が変化するということはあるようです)。
じゃあ何で持久力が上がるのかというとこうしたトレーニングを行うことで筋肉内の毛細血管が増殖して血流が増えることが原因とされています。
高回数トレーニングは負荷と回数を変えるだけなので種目自体は筋肥大目的の筋トレと同様なもので構いません。
どのぐらいの負荷が適正かはどういった運動での持久力を高めたいのかによっても違ってくるので、競技の特性を考慮して最大筋力の25~60%程度の負荷をかけるのがよいでしょう。
- その種目を1回だけ反復できる負荷の25~60%程度の負荷をかける(自重も可)
- 限界がくるまで反復する
といった感じになります。
ちなみにこういったトレーニングでは筋肥大への効果は薄くなるので、筋肥大と筋持久力のアップを一つのトレーニングで同時に実現するのは難しいということになります。
遅筋は速筋のように筋肥大を起こしませんので、マラソンのような遅筋の利用率が高い競技の選手は体つきがほっそりとしています。
ということで持久力系トレーニングのみを行っている場合プロテインによって筋肉が太くなるために必要なタンパク質を供給しる必要はあまりなさそうに思えます。
ただ、長時間に及ぶ運動ではエネルギーの消耗が激しくタンパク質が不足していると筋肉の分解が進行しますので、筋肉を減らさないために持久系アスリートでもプロテインを摂取していることが多いそうです。
また持久能力の向上には炭水化物を補給してグリコーゲン貯蔵量を高めることも重要です(たいてのプロテインサプリメントには炭水化物も入っています)。