「よく噛んで食べなさい」とは昔からよくいわれることです。
食べ物がきちんと砕かれてから胃に入った方が消化にはよさそうですが、よく噛むことはダイエットにも有益なのでしょうか。少し調べてみました。
ちゃんと噛まない人には肥満が多い
よく噛むことがダイエットに効果的かどうかはひとまず置いておいて、逆に早食いは人にどんな影響をもたらすのでしょうか。
いくつかの研究注1によれば食べる時間と体重あるいはBMIの間には強い相関があるとされています。
食べる時間が早い人ほど太っている割合が高いというのです。
なぜ早食いだと太りやすくなるのははっきりしておらず、太っている人は食べるのが好きなので早く食べたいと思って早食いになっているなどの可能性もありますが、早食いの人ほど太っている傾向があるのは確かなようです。
咀嚼で満腹感は増すか
早食いが肥満に繋がる可能性があるというのは、そちらかといえば、ちゃんと噛まないとマイナスになるという話で、噛むことによって積極的に肥満が解消できるという話ではないと思います。
ところでよく噛めば満腹感を感じやすくなるという話を聞いたことはありませんか?
もし噛めば噛むほど満腹感を得やすくなるなら、自然に食べる量が減っていきダイエットにも効果的なはずです。
残念ながら咀嚼と満腹感の関係はそれほどはっきりとはしていないようです。
ただ21名の肥満症患者に1口30回噛む咀嚼法を試して貰ったところ続けるにつれ満腹感を感じる人が増え、咀嚼が満腹感を促進することが認められたとする報告もあります注2。
満腹感を感じさせる物質のひとつであるヒスタミンの分泌が咀嚼によって促されることはラットでは確認されているそうです注3。
噛むことで満腹感が増すとすれば空腹時にガムを噛んでおけば多少の誤魔化しにはなるかもしれませんね。
何回噛むのがいいのか
じゃあ口に入れた食べ物をどのぐらい噛んだらいんだよって話ですが、だいたい30回噛むのがよいといわれており、厚生労働省ではこれを「噛ミング30」と名付けて推奨しています注4。
どうなんですかね30回って。けっこう大変そうな気がしますが(笑)。
後、いちいち回数なんて数えてられないと思う人が多いと思います。
そんな人は耳にかけておくだけで咀嚼回数を計測してくれる咀嚼計なのものがあるらしいので使用してみるといいかもしれません。
http://www.sharp.co.jp
こちらはシャープが開発したbitescan(バイトスキャン)という製品で、耳にかけたまま食事をすれば顎の動きをセンサーで把握することで噛む回数や速度が計測でき、データはスマホやタブレットのアプリに送信されてすぐに適切な速度だったのかを教えてくれるそうです(まだ発売はされていないとおもいます)。
まとめ
まとめるとこういうことです、
- 噛む回数がすくないまたは食べる速度が速い人には太っている人が多い
- よく噛むことで満腹感を感じやすくなる可能性がある
- 1口30回が目安
しっかり噛むことによる減量法は「咀嚼法」と名付けられいて、肥満治療ガイドラインにも行動療法のひとつして載っているそうで、実際に噛み方を改善したことで効果が得られた事例もあるので、特に現状早食いになってしまっている人は試してみるとよいと思います。
注1早食いに関する保健指導は特定保健指導参加者の肥満を改善する/「ゆっくりとよく噛んで食べること」は肥満予防につながるか?/小児肥満解消セミナーにおける肥満度の改善と咀嚼回数の関係
注2肥満症治療における咀嚼の意義とその臨床的応用について
注3咀嚼による満腹感 脳内ヒスタミン神経系による摂食および咀嚼機能調節
注4歯科保健と食育の在り方に関する検討会報告書「歯・口の健康と食育~噛ミング 30(カミングサンマル)を目指して~」