筋力とは筋肉が発揮できることので力ぐらいの意味で、普通最大筋力を意味しますが、他にも筋肉の性能を評価する尺度は存在します。
最大筋力
筋肉が発揮することのできる最大の力が最大筋力ですが、最大筋力の測定方法にも次の2つがあります。
- 1RM筋力の測定
- 等尺性最大筋力の測定
筋トレで最大筋力といったときには前者が想定されていることが普通です。
1RM筋力の測定
1RM筋力とはその種目の動作を1回だけ行うことのできる重量を指します。
例えば100kgでベンチプレスを1回できるが、101kgでは1回もできないという人がいればその人の1RM重量は100kgです。
反動などをつけずにその種目の動作を正しく行う必要はありますが、測定が容易で、筋トレの成果を知る目安としてわかりやすいのでよく用いられます。
回りに人がおらず怪我が心配な場合にはもう少し高回数できる重量から1RMを推定することも可能です。
負荷強度(%1RM) | 反復回数(RM) |
---|---|
100% | 1回 |
95% | 2回 |
93% | 3回 |
90% | 4回 |
87% | 5回 |
85% | 6回 |
80% | 8回 |
75% | 9回 |
70% | 10回 |
65% | 18回 |
60% | 20回 |
例えば100kgで8回ベンチプレスの動作を行うことのできる人の1RMは、Xかける0.8=100 なので100を0.8で割って125kgということになります(あくまでも目安です)。
筋トレ用の各種マシンは滑車などを挟んでいるため100kgの負荷に設定した場合でも実際にはより軽い負荷しかかからない可能性があります。
なのでそのマシンで行った過去のデータと比べて筋力を知ることはできますが、フリーウエイトや他のマシンと比べると狂いが生じます。
等尺性最大筋力の測定
上記の1RMは実際の筋トレの動作による筋力の測定ほうでしたが、そうではなくて筋肉の長さが変わらない状態での筋力を測定するのが等尺性最大筋力です。
具体的には握力計を用いて握力を計る場合や背筋計を使って背筋力を計る場合がこれにあたります。
特定の筋肉そのものの力を知ることができるのがメリットですが、以外と測定が難しく角度などによって誤差が生じやすいという難点があるようです。
筋持久力
特定の状態の動作をどのくらいの時間または回数続けることができるかが筋持久力を計る際の目安となります。
回数で計る場合
適当な負荷をかけてその種目の動作を何回まで反復することができるかを計ります。
例えば腕立て伏せを何回できるのか、スクワットを何回できるのかといった感じですね。
このような方法だと何回からフォームが崩れてきて、何回以上はできなかったということしかわかりませんが、筋力と速度を計れる機械を用いて測定した場合には、最後の10回の仕事量/最初の10回の仕事量で持久力を評価することもできます。
持続時間で計る場合
上記の方法は動的な筋力の測定でしたが、一定の姿勢をどのくらいの時間保っていられるかを調べることで静的な持久力を知ることができます。
例えばレッグレイズ中に適当な角度で足を止め、そのままの姿勢を何分保つことができるのか、あるいは懸垂で腕を曲げて体を持ち上げた状態を何分保つことができるかとかですね。
動的な持久力と静的な持久力は全く一致するわけではないですがある程度相関します。
スピード・パワー
最大筋力は筋肉が動かすことのできる限界重量のことでしたが、どのくらいの時間で筋肉を収縮させることができるのかも筋力を評価する際の尺度になるはずです。
ただ速度を測定するのは専用機械を使わないと難しいので一般にはありま計られていないと思います。
また速度と力の関係もスポーツには重要だと思われます。
基本的に大きな力を必要とするほど(負荷が大きくなるほど)出せるスピードは低下していきます。
またパワー(仕事率)という考え方もありあます。
仕事率とは一定の時間内にどのくらの仕事が行われているかを表すことばで、仕事/時間で求められますが力が常に一定だとすると力×速度となります。
だいたい最大筋力の30%ぐらいの負荷がかかったときにパワーが最大になります。つまり30%程度の負荷の時筋肉は最大限に活用されているということになります。
筋肉量が増えれば筋力は強くなる?
このように筋肉には色々な性能がありますが、最も一般的な筋トレは筋肥大を目的としたもので、
- 1RMの75-80%の負荷をかける
- 1セット当たり8~12回反復
- これを3セット以上行う
が基本的なルールとなっています。
こうした筋トレは筋肥大に効率的なのは間違いないですが、筋力増強に対してはどうでしょうか。
幸いなことに最大筋力と筋肉の断面積の間には比例関係があります。
なので基本的には筋肥大に効果的な筋トレを行うことが筋力を強くするためにも有効です。
ただ筋トレを始めたばかりの頃は筋肉がそれほど大きくなったとは思えないのに扱える重量がどんどん上がっていくということがあります。
これは単にからだがその種目の動作を上手に行えるようになったために起こる現象とみられており、学習効果とも呼ばれます。
また、1RMの90%以上の負荷をかけるトレーニングは筋肥大にはほとんど効果がないが筋力アップには効果的とされます。
これは筋肉を制御する神経系の適応によるものとされています。
筋持久力を高めるトレーニング
筋肥大に効果的なトレーニングは筋持久の向上にはそれほど効果的ではないと思われます。
例えば胸筋が肥大すると腕立て伏せができる回数が増えますが、これは相対的に負荷が下がっただけで筋持久力が上がったというわけではありません。
筋持久力を高めるためにはある程度高回数行うトレーニングが効果的とされます。
どれぐらいの負荷をかけるかはどれくらいの負荷がかかった状態での持久力を高めたいかによりますが、余り軽すぎても効果が薄くなるので1RMの25~60%程度の負荷をかけるとよいでしょう。
筋肥大しないとしたらこうしたトレーニングでは何が変わるのかというと、毛細血管の発達などにより筋肉内の血流量が増大することが最大の変化とされています。
まとめ
まとめると、
- 筋肉の性能を知る尺度には最大筋力、筋持久力、短縮速度などがある
- 筋肥大すれば最大筋力は強くなる
- 筋持久力をつけるには高回数トレーニングが効果的
って感じです。スポーツでのパフォーマンス向上が目的の場合は最大筋力ばかり鍛えていてもすぐに疲れてしまい役に立たないという可能性もあるので、その競技に合ったトレーンングを行うことが大切です。