基礎代謝がエネルギー消費に占める割り合いは大きい

基礎代謝量とはなにもしていなくても生命の維持に必要されるエネルギー量のことです。

特に意識的な活動をしていなくても使われる分ですからそんなにたいした量ではないと思われるかもしれませんが、普通の人では1日に使われるエネルギーの60%以上を基礎代謝がしめます。
1日の消費エネルギーの割合(安静時代謝60%、食事誘発性熱産生10%、身体活動30%)
つまり運動で消費されるエネルギーよりも基礎代謝として消費されるエネルギー量の方が大きいわけです。

自分の基礎代謝を知るには

正確な基礎代謝量を知るには専用に装置を使用して呼吸の成分を調べなければなりません。
これはなかなか実施が困難なので以下の基礎代謝基準値を参考に計算するか、何らかの基礎代謝量推定式を利用して計算するのが一般的となっています。

基礎代謝基準値

基礎代謝予表
(出典:日本人の食事摂取基準)
基礎代謝基準値は過去の計測データからつくられたもので、参照体位において推定値と実測値が一致するようになっています。
基礎代謝基準値×体重で計算できるので容易に自分の基礎代謝量を知ることができますが、基準から外れた体型では誤差が大きくなり、太っている人では基礎代謝量を過大評価し、痩せてる人では過小評価してしまう傾向があります。

推定式で計算する

ということで現状として標準から外れた体型をしている場合は基準値を使用すると誤差が大きくなるので、推定式を使用することをおすすめします。

推定式はいくつも存在しますが、日本人に適していると思われる国立健康・栄養研究所の式はこんな感じになっています。

  • 男性→(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)-0.0138×年齢-0.4235)×1000/4.186
  • 女性→(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)-0.0138×年齢-0.9708)×1000/4.186

例えば20歳、女性、体重50kg、身長160cmの場合は(0.0481×50+0.0234×160-0.0138×20-0.9708)×1000/4.186で約1171kcalとなります。

ただ体組成や遺伝的要因などにより基礎代謝量には個人差も存在します。
基礎代謝が高い人はたくさん食べても太りにくく、基礎代謝の低い人は太りやすい体質といえます。

基礎代謝を上げる方法

基礎代謝は体重、特に除脂肪体重に相関しますので体重が上がれば、基礎代謝量もあがります。

除脂肪体重とは体から脂肪を除いた、筋肉や臓器等々の重さの事で、各組織が基礎代謝に占める割合はだいたいこんな感じだといわれています。
各組織が基礎代謝に占める割合(筋肉	20%肝臓25%脳19%心臓7%腎臓10%その他19%)

ただ筋肉は臓器よりもずっと量が多く重いので1kg当たり消費カロリーはこんな感じになるとされています。

各組織の1日当たりの代謝量(肝臓200kcal
脳240kcal心臓440kcal腎臓440kcal脂肪4.5kcal筋肉13kcal)

とうことで基礎代謝量を上げたければ太ればいいということになります。
しかし、ダイエットのために基礎代謝を気にしてる人にそんなことをいってもしかたありません。

体重を下げながら基礎代謝を上げる方法がないのかといえば、基本的にはないといってよいでしょう。

β3アドレナリン受容体やUCP1をつくる遺伝子に異常がある人では基礎代謝が1日に100~200kcal落ちると言われてるので、そうした問題を治す治療があれば(あるのかしりませんが)、体重が下がっても基礎代謝が改善するということもあるかもしれません。

カプサイシンブラックジンジャーなど代謝を上げるとされるサプリも存在しますが、どの程度有効かは不明ですし、効果があっても一時的なものです。

ただ体重が減った時に基礎代謝量の減少幅を幾分か少なくすることは可能です。
上のグラフの通り脂肪は基礎代謝量に貢献する割合が少ないわけですから、なるべく脂肪だけを落とすようにして痩せればいいわけです。

脂肪を落とすには、ジョギングなど脂肪燃焼効果の高い有酸素運動が有効です。
筋肉量を減らさないためには筋トレを行い高い負荷のかかった状態で筋肉を使ってやることが重要です。
内臓の減少を少なくするためには厳しい食事制限は行わない方がよいでしょう。

つまり激しい食事制限を行わず、有酸素運動と筋トレを行いながら緩やかに痩せていけば基礎代謝量をその体重にしては高い状態にもっていくことができるはずです。

同様に体重を増やす際も脂肪ではなく筋トレをするなどして徐脂肪体重を増やすようにすれば比較的高い基礎代謝量を実現できるでしょう。