糖質制限ダイエットが効果的とされる理由や危険性について

そもそも糖質とは

糖といわれると砂糖が思い浮かびますが、甘い物だけが糖質なのではありません。パン、パスタ、うどんなども糖質を多く含んだ食べ物です。
糖質とは単糖を主要成分とする有機化合物の総称で、炭水化物とも呼ばれます。
コメ、パスタ、食パン、ホットケーキ、レアチーズケーキ、中華麺、うどん、アボカド、木綿豆腐、だんご(あんこ)、チョコレートの炭水化物・タンパク質・脂質の割合
砂糖をそのまま食べるとかでない限り、100%糖質ということはありませんが、甘い物と主食系(パン、パスタ、米など)が高糖質な食べ物ととなっています。

日本人は糖質過剰?
日本人の食生活では炭水化物を過剰に摂取しがちだといわれています。
確かに夕食はともかく朝食や昼食はパン、おにぎり、うどん、ラーメン、カレーなどオカズがほとんどない食事をとっている人がけっこう多いような気がします。

糖質制限ダイエットの種類

糖質制限ダイエット(低炭水化物ダイエット、ローカーボダイエット)にもいくつもの種類があります。
一番有名なのがロバート・アトキンスというアメリカの医師が考案したアトキンスダイエットで、この人の主張によれば糖質さえ制限すれば脂質やタンパク質はいくら食べても太らないとさえされます。

糖質の量
アトキンスダイエット 1日50g以下が目安(最初1~2週間はさらに極端に制限)
ゾーンダイエット 炭水化物40%、タンパク質30%、脂質30%
アメリカ糖尿病学会の定義 全エネルギーの40%未満
スーパー糖質制食 全エネルギーの12%未満
緩やかな糖質制限食 1日130g以上

どこからが糖質制限といえる明確な基準があるわけではありませんが、厚生労働省の発表してる「日本人の食事摂取基準」によれば総エネルギーの50~65%を炭水化物から摂るべきとさています。

糖質制限ダイエットの歴史
現在糖質制限ダイエットは流行となっていますが、ロバート・アトキンスが初めてそのダイエット法を提唱したのは1972年で、アメリカではこの時点でブームになっています。
80年代には廃れて逆に高炭水化物、低脂肪ダイエットが流行するようになりましたが、90年代末に再び流行りだし、2000年代初めにはマクドナルドでバンズなしのハンバーガー(?)が販売されるなど一大ブームになりました。
しかし、2003年足を滑らせて亡くなったアトキンス博士の体重が118kgもあり、検死の結果高血圧や心臓疾患が見つかったことからブームは一気に下火になりました。

効果的とされる理由

炭水化物(糖質)の摂取量を抑えることにはどんなメリットがあるのでしょうか。

インスリンの分泌を抑制

炭水化物を摂取すると血糖値が上がりインスリンが大量に分泌されます。
インスリンは脂肪細胞に働きかけ細胞内に糖が取り込める状態にし、脂肪の合成を促進します。
炭水化物と脂質が脂肪として蓄積する経路とインスリン働き、イメージ
つまりインスリンは脂肪の蓄積を促す働きをします。
炭水化物を摂取しないようにすることでインスリン分泌が抑えるので、脂肪の蓄積が防げるというわけです。

タンパク質は?
タンパク質は主要なエネルギー源ではありませんが、過剰に摂取すれば脂肪に変換され、糖質が不足している時には糖に変換されます。
なのでタンパク質なら食べても太らないということはありません。

脂肪をエネルギー源に

人間は普段脂肪や糖質をエネルギー源として活動していますが、糖質が制限されるとその分脂肪の消費が増えるという考えです。
また糖質が枯渇すると肝臓で脂肪酸などからつくられるケトン体(アセト酢酸、b-ヒドロキシ酪酸)も筋肉や脳のエネルギー源となるとされます。
ケトン体の合成
脂肪酸からケトン体が合成され、血中のケトン体の量が増えてエネルギーとして利用可能になることをケトジェニックといいます。

危険性

多くの人が実戦しているダイエット法ですが危険性を指摘する声もあります。

脳のエネルギー不足

脳は通常グルコースのみをエネルギー源とするが、絶食に近い状態になった時にはケトン体もエネルギー源として利用されます注1
しかし、脳は基礎代謝の約20%を占める注2エネルギー消費の大きい器官で、極端な糖質制限が行われた時にケトン体だけで十分なエネルギーが賄われるかは不明です。

心臓・血管系の疾患

低炭水化物食を行っていた人では死亡率が他と比べて有意に高く、特に心臓・血管系の疾患が目立ったとの報告があります注3

様々な体調不良

糖質制限を行っている人のなかには体調不良を訴える人がいます。主なところでは、

  • めまいがする
  • 疲れやすくなった
  • 体から異臭(ケトン臭)がするようになった
  • しばしば頭痛が起こるようになった
  • 頭がぼーっとする
  • 便秘になった
  • 下痢になった

などです。これらが糖質制限と関係があるのかは不明でありますが、このような症状を訴える人がいるのは事実です。

糖質制限はカロリー制限よりも効果的か

食事を制限するダイエット法にも色々なタイプがあります。
栄養素のバランスを保ったままカロリーを制限する最も一般的な方法や高炭水化物食、低脂肪食などと比べて糖質制限は有利なのでしょうか。

スタンフォード大学の研究者が行った肥満体の被験者の女性を①アトキンスダイエット、②ゾーンダイエット、③ラーンダイエット(高炭水化物、低脂肪)、④オーニッシュダイエット(超炭水化物、低脂肪)に分けた実験ではアトキンスダイエットが一番いい成績をおさめたそうです注4

また①低脂肪のカロリー制限食、②カロリーを制限した地中海食(オイルを多用)、③カロリー制限を行わない低炭水化物食を行っている人達を2年間にわたって調査したところ低炭水化物食が最も優れた体重減少効果を示したとする報告もあります注5

しかし、この研究では低炭水化物食では実際には総カロリーも抑えられており、必ずしも低炭水化物だから痩せたとは結論できないと指摘されています注6

また反対の結果を示すデータもあり、2014年にJohnstonらによって行われたメタアナリシス(複数の研究結果の分析)では、低脂肪でも低炭水化物でもカロリーが同じなら差はみられなかったとしています注7

つまり糖質制限がカロリー制限に対して有利だという明確な証拠はありません

また糖質制限を行っていても大量に食事を摂れば太る可能性が高いと思われます。

デメリット

糖質制限ダイエットには明かなデメリットと思える点もいくつかあります。

運動能力、体力の低下

安静時は脂肪がエネルギー源として多く使用されるますが、運動中は糖も重要なエネルギー源となってきます。
特に筋トレをような大きな力を出す運動では糖が主要なエネルギー減ですし、ジョギングなどの有酸素運動でも長時間に及ぶ場合は糖の利用が増えます。
しかし、糖質制限を行うと血中のグルコース(ブドウ糖)や筋肉に蓄えているグリコーゲンの量が低下し、ハードな運動に耐えられなくなります。

筋肉の減少

脂肪から糖を作ることはできませんがタンパク質からは糖をつくりだすことができます。
糖が不足した状態が続くと体はタンパク質を分解してアミノ酸からグルコースを作り出そうとします。
筋肉はタンパク質で出来ていますので糖質制限下では筋肉の異化が進行する可能性が高くなります。
糖質タンパク質脂質の相互変換関係
またインスリンは筋肉内にグルコースを取り込み、筋肉の成長を促進する有用なホルモンです。インスリンが十分に分泌されない状態では筋肉の成長は見込めないでしょう。

まとめ

まとめるとこんな感じです。

  • 糖質は甘い物や主食系(米、小麦、イモ)に多い
  • 糖質制限ダイエットは効果的だがカロリー制限に対して有利かは不明
  • 危険性を指摘する声もある
  • 筋肉には有害なダイエット法

個人的には同程度のカロリーなら糖質制限の方が一般的な食事制限より有利そうな気がするのですが、極端な糖質制限は筋肉にはどう見てもよくなさそうなので筋トレをしてる人やスポーツをしてる人にはおすすめできません。


注1medicina 血中ケトン体
注2Energy and protein requirements
注3Low-Carbohydrate Diets and All-Cause Mortality: A Systematic Review and Meta-Analysis of Observational Studies
注4Comparison of the Atkins, Zone, Ornish, and LEARN Diets for Change in Weight and Related Risk Factors Among Overweight Premenopausal Women
注5Weight Loss with a Low-Carbohydrate, Mediterranean, or Low-Fat Diet
注6糖尿病診断ガイドライン2016
注7Comparison of weight loss among named diet programs in overweight and obese adults: a meta-analysis.

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