体重が減れば筋肉も減少する
消費エネルギーが摂取エネルギーを上回れば体重は減っていきますが、減量時には脂肪だけではなく除脂肪体重もある程度失われてしまうのが普通です。
筋肉が減っても脂肪がそれ以上の減っていれば体脂肪率は下がりますが、どうようの割合で減少すれば変わりません。
ただ除脂肪組織には筋肉以外に臓器などもに含まれており、減量時にはこれらも同様に減少します。
これは肥満の白人女性にダイエットプログラム(食事制限)を受けさせた結果で、脂肪以外にも様々な組織が減少していることがわかります。
減量前 | 減量後 | 変化率 | |
---|---|---|---|
体重 | 102.2 ± 16.8 | 92.8 ± 16.3 | −9.2% |
除脂肪体重 | 56.7 ± 7.7 | 55.1 ± 9.9 | −2.8% |
脂肪組織 | 45.8 ± 12.1 | 37.8 ± 11.9 | −17.4% |
骨 | 4.45 ± 0.52 | 4.51 ± 0.56 | 1.3% |
筋肉 | 29,038 ± 5073 | 28,115 ± 4270 | −3.1% |
脳 | 1469 ± 90 | 1475 ± 90 | 0.4% |
肝臓 | 1768 ± 337 | 1690 ± 293 | −4.4% |
腎臓 | 376 ± 63 | 352 ± 58 | −6.4% |
心臓 | 232 ± 47 | 220 ± 46 | −5.3% |
体脂肪率が低ければ低いほど危険
ということで体重が減れば筋肉などの除脂肪組織も減少する可能性が高いわけですが、その減少率はスタート時点での体脂肪率が高い人よりも低い人で著しいとされています注1。
つまり
- 体脂肪率25%→20%
- 体脂肪率15%→10%
では後者の方が筋肉などの除脂肪体重の減少を招きやすいというわけです。
脂肪が豊富にある内は運動時やエネルギー不足時のエネルギー源として優先的に使用されるが、脂肪が減り、体脂肪率が低くなると利用できる余地が減り、除脂肪組織が多く使われるようになるということでしょう。
過度に発達した筋肉はかならずしも人体に必要なものではないので、筋肉量が多く、かつ体脂肪率の低い人が痩せようとした時が一番除脂肪組織の減少を招きやすいのではないかと思います。
筋肉の減少を食い止めながら痩せる方法
筋肉をできるだけ残したまま痩せるにはどうするのがよいのでしょうか。
これは肥満気味な成人男女を①食事制限と筋力トレーニング、②食事制限と有酸素運動、③食事制限のみのグループに分けて8週間ダイエットを行わせた結果です。
(Effects of strength or aerobic training on body composition, resting metabolic rate, and peak oxygen consumption in obese dieting subjectsより制作)
いずれのグループでも除脂肪体重は減少していますが、食事制限のみのグループと比べて筋トレも行っていたグループでは減少量が抑えられています。
このように筋トレを行いながら減量すれば除脂肪体重の減少率を穏やかにできる可能性があります。
極端なカロリー制限はしない
食事制限によって摂取カロリーを削るのは体重を減らすために有効な手段ですが、極端なカロリー制限は除脂肪体重の減少を招きやすいことがしられています。
特に完全に食事制限のみでやせた場合は筋肉もかなり失われる可能性が高くなります。
普段から筋トレをやっている場合はこれに食事を組み合わせて有酸素運動は行わないというのもありだと思いますが、その場合もやはり過度に制限しすぎない方がよいと思われます。
食事制限してもタンパク質さえ摂っておけばいいと考えてる人もいますが、生命維持などと比べると筋肉をつくるということの優先度は高くないのでやはりトータルの摂取カロリーを制限しすぎると筋肉の減少を招きます。
結局急激に痩せると除脂肪組織も失いやすいという話でもあります。
運動後の栄養補給はしっかりとする
タンパク質や炭水化物は運動後素早く摂取することが効果的に筋肉の合成をたかめたり、グリコーゲン貯蔵量を増やせることがしられています。
ダイエット中は全体としてはある程度カロリー摂取を抑制する必要がありますが、運動直後はいわばチャンスタイムなのでプロテインを飲むなどしてしっかり栄養を摂っておきましょう。
運動前に筋肉の分解を防ぐ効果があるとされるBCAAサプリメントを飲むのもおすすめです。
注1Body fat content influences the body composition response to nutrition and exercise.