現代の一般的から価値観によれば太っていることはこのましくないこととされています。
これには美的な観点と健康的な観点があると思いますが、太っているのと痩せているではどちらの方が健康的といえるのでしょうか。
BMIと寿命の関係
身長に対して体重がどうなのかを知るための指標にBMI (Body Mass Index) というのがあります。
計算は簡単で、BMI=体重÷(身長×身長)なので、例えば身長180cm、体重60kgの人のBMIは60÷(1.8×1.8)で約18.5ということになります。
どの程度からが肥満かといいますと日本肥満学会によれば。
状態 | BMI |
---|---|
低体重(痩せ型) | 18.5未満 |
普通体重 | 18.5以上、25未満 |
肥満(1度) | 25以上、30未満 |
肥満(2度) | 30以上、35未満 |
肥満(3度) | 35以上、40未満 |
肥満(4度) | 40以上 |
といった基準になっています(ただ凄く筋肉質で体脂肪率が低い人ではBMIが基準値以上でも肥満とは言えない場合もあります)。
当然体重が重くBMIが高い方が寿命は短くなるように思えますが、宮城県内の40歳以上の住民約5万を対象とした調査注1によると40歳の平均余命は標準体型(BMI18.5-24.9)で、男性が43.03年、女性が52.31年なのに対してやせ(BMI18.5未満)の男性では37.40年、女性では46.98年、過体重(BMI25.0-29.9)の男性では44.34年 女性では52.56年、肥満(BMI30以上)の男性では41.36、女性では49.23年となっており、男女ともに標準的な体重よりも太めの方が平均余命が長いという結果になっています。
この調査によれば 小太り>標準>デブ>痩せとなり、痩せはBMI30以上というかなりの肥満よりも寿命が短いということになります。
これは日本人を対象として調査ですが、アメリカ疾病対策センターの研究チームが北米、南米、アジア、ヨーロッパで行われた調査を対象として行ってメタ分析でも普通体重グループを1とした時、過体重(BMI25-<30)の死亡率は0.94となっており、太り気味の人の方が標準的な体重の人より死亡率が低かったとされています注2。
更にこれによればグレード1の肥満(BMI30-<35)でも普通体重よりも死亡率が5%低いというから驚きです。
太ってても問題ない?
世の中ではメタボリックシンドロームだとなんだの口うるさく言われていますが、では、実際には太っていても何の問題もない、いやむしろ太っていた方が長生きできていいということなのでしょうか?
残念ながらそうともいえないようです。
- 高脂血症
- 高血圧
- 糖尿病
といった生活習慣病と肥満の間には深い関連があることが数多く指摘さているからです注3。
一番最初に紹介した日本人を対象とした調査でも医療費は痩せている人よりも太っている人の方が高くなる傾向があるとされています。
(単位はなぜか£(ポンド)。現在のレートでは1ポンド約150円)
つまり太っている人の方が寿命が長いのが本当だとしても健康的とはいえないのです。
太っている人は病気になるが体力があるので長々と生きながらえ痩せてる人はぽっくり逝くということなのかもしれません。
日本肥満学会などではBMI22が有病率が最も低くなる値としており、BMIが22になる時の体重を標準体重と定めています。
まとめ
まとめるとこんな感じになります、
- 超肥満は寿命が短いが多少太っているぐらいならむしろ寿命が長くなる
- 痩せの寿命は短い
- 太っている方が生活習慣病のリスクが高まる
ちなみに痩せとされてるBMI18.5未満ってのはけっこうなガリですよ。身長180cmで59.9kg以下、身長170cmで53.5kg以下、身長160cmで47.3kg以下、身長150cmで41.6kg以下ですからね(若い女性だったら珍しくないのかな?)。
というわけで結局、普通か普通よりもちょっとだけ太っているぐらいが最もよいのではないでしょうか。ダイエットもやりすぎはよくないみたいです。
注1Impact of obesity, overweight and underweight on life expectancy and lifetime medical expenditures: the Ohsaki Cohort Study.
注2Association of all-cause mortality with overweight and obesity using standard body mass index categories: a systematic review and meta-analysis.
注3Body Mass Index (BMI) 分類に基づく肥満と生活習慣病関連因子の検討