有酸素運動とは
有酸素運動は長時間持続することのできる中、低強度の運動をいいます。
逆に投擲種目や短距離走のような短い時間で大きな力を発揮する運動を無酸素運動といいます。
無酸素といっても呼吸をしないでする運動という意味ではありません。
このような運動ではエネルギー供給に酸素が使用されないことから無酸素運動と呼ばれているのです。
多くの運動は有酸素的要素と無酸素的要素を併せ持っていますが、
- ジョギング
- 縄跳び
- ウォーキング
- サイクリング
- エアロビクスダンス
- スイミング
などが代表的な有酸素運動となっています。
有酸素運動は筋肥大を阻害する?
有酸素運動が筋肉の発達にとって有害なのかどうかはそれ程はっきりしません。
有酸素運動とレジスタンストレーニングを組み合わせたトレーニングプログラムでも筋力の向上を妨げることはないとする報告注1もあればその逆もあります。
ただ既にある程度筋肉が発達している人を対象とした実験では有酸素運動を行うことで筋肉の成長が妨げるられると結論されていることが多いようです。
これはトレーンング経験のある30人の健康な男性を①レジスタンストレーニングのみを行うグループ、②有害運動のみを行うグループ、③コンカレントトレーニング(有酸素+レジスタンス)を行うグループ、の3グループ、に分けて10週間週3回のトレーニングを行わせたもので、①グループ、②グループともプログラム後にはベンチプレス、スクワットの1RM重量が増加していますが、その増え方は①グループの方が大きくなっています(有酸素のみは微妙に減少)注2。
というわけで特に上級者の場合は筋トレと同時に有酸素運動を行うと成果が落ちる可能性があります。
なぜ筋肉が減るのか
しかしなぜ有酸素運動を行うと筋肉の減少を招く可能性があるのでしょうか?
原因がわかれば筋肉を減らさずに有酸素運動を行うことができるかもしれません。ということでありえそうな原因をいくつか挙げてみました。
オーバートレーニング
ひとつ考えられるのはレジスタンストレーニングに加えて有酸素的な持久運動を行うとトータルのトレーニング時間が増え、オーバートレーニング気味になって疲労が蓄積し、十分な回復力がなされず筋肉の発達を阻害するという可能性です。
これが原因だとすれば適切な休息をとりながらトレーニングを行えば有酸素運動をおこなっても問題ないということになります。
筋肥大に不利なホルモンが分泌
筋トレを行うと筋肥大を促す男性ホルモン・テストステロンの分泌が促されますが、有酸素運動を行うとタンパクの合成を抑制する働きを持つホルモン・コルチゾールの分泌が促されるとされています。
筋トレと有酸素運動を同時におこなうとコルチゾールの働きで筋肉の合成が抑えられ十分な効果が得られない可能性があります注3。
糖新生
糖新生はエネルギーが不足したときに筋肉を分解してアミノ酸からグルーコ(ブドウ糖)が作り出されることをいいます。
栄養を補給しないまま長時間運動を続けているとグルコースやグリコーゲンが枯渇してして筋肉の減少を招く可能性があります。
ダイエット中でなければ運動前に糖質を補給しておけばそう相当過度な運動でない限り大丈夫なはずです。減量中はBCAA(分枝鎖アミノ酸)サプリメントを飲むのがよいでしょう。
まとめ
ということで筋トレに加えて有酸素運動を行うと筋トレのみを行った場合と比べて筋肥大を得られにくくなる可能性があります。
ただ全く筋肥大しなくなるとかってことではなく、適切な休憩や栄養素補給で幾分かましになる可能性もあります。
筋肉を大きくすることが目的な場合は有酸素運動を一切行わないのもありですが、筋トレでは心肺機能は鍛えられませんので体力アップや運動能力の向上が目的なら多少筋肥大に悪影響でも有酸素系のトレーニングも取り入れるべきでしょう。
注1Compatibility of adaptive responses with combining strength and endurance training.
注2Concurrent resistance and endurance training influence basal metabolic rate in nondieting individuals.
注3Effect of Strength Training and Concurrent Strength and Endurance Training on Strength, Testosterone, and Cortisol.